御手洗はこちらです。

便所みたいなもんですね。

 

僕はあの、苺の甘酸っぱさが苦手だ。

後に残るあの酸っぱさが全て台無しにしているように感じるにもかかわらず、

あれがないと甘いという感覚が際立つことはないのだ。

 

「愛してる」

なんて月並みな言葉しか口に出せないのも、それほどまでに勇気がなく、その程度の自信しか持ち合わせてなどいなかったからだ。

「ありがとう。嬉しい」

彼女の表情はとても嬉しそうで、まるで一番欲しかったおもちゃを、誕生日に買い与えてもらった子どものような表情だった。

僕はその表情をずっと見ていたくて

「あの頃から、ずっと君のことが好きだった。今もずっと変わらずに」

「私も大好き、本当に、本当に」

かみ締めるように。

「楽しかったね、あの時に行った水族館、また行きたいね」

「えぇ、本当。私、あの青く暗い場所、すごく好き。自分の知らない世界に溶け込んでる気分になるの」

昔に聞いた、同じ台詞。

「でも、次は海まで行こうか。もっと青く、もっと澄んでると思うよ」

「そうね、とっても楽しみ」

彼女は何も変わらない、無邪気な笑顔を崩すことは無い。

「そうだ、君が行きたいって言っていた、あの場所へ行こう。あの頃は行けなかったけれど、今なら、今すぐにでも行けるよ」

彼女はその言葉に微笑んだまま、何も言わなかった。

だから、その時僕は苺みたいだ、なんて思ってしまったのだ。

何も言えない僕と、何も言わない君。

このままずっといられたら、と思う自分と、誰でも良いからこの静寂を破り捨ててくれ、と叫びだしたくなる自分はどちらが本音なのだろうか。

しかし、どんなものにも終わりが来るのだ。

「私ね、結婚するの」

知っていた、知っていて僕は君と会ったのだ。

「ちゃんと幸せに、なれるかなぁ。今の私は、ちゃんと幸せに見えるかなぁ」

僕はその顔を見ていない。

「うん、今の君は、とっても奇麗だよ」

あの頃から、見違えるくらいに。

そう言えない僕は、なんて臆病者なんだろう。

「えへへ、ありがとう」

まだ、僕はその顔を見ていない。

「あのさ」

「ん?」

その何でもないやり取りが、一番僕の胸を引き裂いた。

だから僕は

「ごめん、なんでもない」

「えー、なにそれ」

そんな風にお茶を濁すのだった。

小さな、僕らがよく知る公園のブランコ。

君はよく

「もうお尻が入らないの」

なんて、照れくさそうに笑っていた。

 

「ねぇ」

「なぁに」

ブランコをゆらゆらと揺らす彼女は、あの日と何も変わっていないように見えた。

「最後に、僕に言うことはある」

その質問に対して、君は考えてる様にも、この時間を惜しんでいるようにも、見えなかった。

ただ彼女は、ずっと、微笑んだまま僕を見つめていた。

僕は、君が次になんと言うか、考えるフリだけして、実はわかってしまっていたし、わかっていたからフリでもしていなければ、ここに立っている事すらままない。

風が君の香りを運ぶ。それは初めて君から香る匂いで、苺の香りがした。だから僕は思わず苦笑いを零してしまったのだ。

それを見た君は、まるで初めて来た街で

「目的地はこっちだったかしら」

とでも言うような素振りで、キスが出来るくらいの距離まで近づくと

「さようなら」

と、それだけ。

 

あぁ、そうだ。

僕はその一言が欲しくて、その一言が途方もなく酸っぱいことを知っているのに、求めてしまったのだ。

あの甘き日々と別れを告げるために。

 

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これから、こうして後書きみたいなものを書いて行こうかな、と思ってはいるんですけど、これについては

今の感情を必ず何かに残そう

と思った時があって、それを簡単に説明しようと思ったらこんな感じになりました。

まぁ、恋愛ってよくよくこんな感じになりますよね、ちなみに言うとこれを書いた時のテーマがスイーツだったんですよ。

なのでスイーツ(笑)みたいな感じに書ければなぁと思ったらこんな感じになりましたね。

うわぁ、スイーツ(笑)……となって頂ければ間違いなくテーマに沿ったものがかけてるはずなので悪くないんじゃないかなぁ、と。

後これは30000回くらい言わせて頂きますが、フィクションです。

実在の人物とは全く関係の無いものですので、あしからず。